interview

千葉県柏市の閑静な住宅街にある『てらだデンタルクリニック』。2004年の開院から10年。小児歯科ならてらだデンタルクリニックへ、との評判が口コミで広がり、毎日たくさんの子どもたちが、笑顔でクリニックに通ってくる。
院長の寺田氏に、小児歯科治療への想いを伺った。

―――小児歯科に興味を持ったきっかけを教えてください。

開業前に勤務していたクリニックが小児歯科に力を入れていたんです。子どもの治療に携わる機会が多かったので、自然と小児歯科に興味を持つようになりました。
とはいえ、最初は大変でした。
「泣いたら体を押さえて治療すればいい」くらいに考えていましたが、とんでもない。子どもが10人いれば10人の対応があって、教科書どおりにはいきません。小児の治療の難しさと奥深さを痛感しました。

―――どのようにして小児歯科治療のスキルを身につけていかれたのでしょう。

経験ですね。特別なスキルではなく、経験値を重ねて身をもって学ぶ。専門的なテクニックはいろいろあるのかもしれませんが、私の場合は、「経験」でした。

2004年に『てらだクリニック』を開業する際も、勤務医時代の経験を活かして小児歯科に力を入れていこうと考えました。周囲には学校が多く、子どもが比較的多いエリアだったのも幸いでしたね。
が、当時も今も、小児だけにターゲットを絞っているわけではないんです。大人の患者さんを診るうちに、「じゃあ今度はうちの子も連れてきますね」という方が増えていき、現在は、毎日20~30人の子どもを診ています。2歳~小学生が中心ですね。

―――2歳でも虫歯があるのですか。

ありますよ。傾向としては、下のお子さんに虫歯ができやすいんです。というのも、上のお子さんの場合は、お母さんもマニュアル通りにきちんと子どもの歯のケアをしているのですが、2人目、3人目となると、そのあたりがどうしても手薄になってしまいがちです。
また、上のお子さんがお菓子を食べていると、お母さんが気づかないうちに下の子も一緒に食べて、というようなことがよくありますよね。一人目のときは、おやつの時間も決めてそのあとはケアもして、ということができても、2~3人子どもがいると、なかなか目が行き届かない。そうこうするうちに虫歯になってしまうんです。

―――2~3歳児の虫歯の治療は、大人と同じ方法で行うのでしょうか。

同じです。大人と同じように歯も削りますし、大きい虫歯なら麻酔もします。
大人との治療の違いといえば、詰め物ですね。大人の場合、通常は型をとってやるので、何度か通っていただく必要がありますが、子どもの虫歯の場合、当院では型はとらずにそのまま白い詰め物をするので、治療は1回で終了し、治療にかかる時間も10~15分程度です。子どもの治療は、スピードも大事です。

―――痛みを伴う治療への対応は、どのようにされているのでしょう。

麻酔などはまず表面麻酔をしてから打ちます。打つ場所によって痛みの感じ方が違うので、そのあたりは気を配っていますね。あとは、「間」です。これはテクニックではなく、長年の経験で培った勘ですね。たとえば子どもが治療中に泣いた場合、このまま継続するか、中断して少し待つか。タイミングを計って行うことも大切です。

ただ、子どもの場合、歯医者そのものが初めてなので、大人のように「歯医者は怖い、嫌だ」というマイナスの先入観がないんです。もちろん怖がったり、泣いたりという子どももいますが、なんだかよくわからないけれど、座っていたら終わっていた、という感じで、あっさり終了するケースも多いですね。

―――診察室にはお母さんも一緒に入ることが多いのですか。

院はどちらでもかまいません。ただ、治療中は私たちスタッフにお任せいただくようお願いしています。というのも、泣いたり暴れたりした場合、こちらも子どもの体を抑えたりするわけですが、お母さんが診察室にいると、どうしても一緒に抑えたり、声をかけたりてしまいます。すると子どもは、お母さんまで先生たちの仲間、つまり自分の敵になった、と思ってしまう。でもお母さんが手を出さなければ、子どもは「お母さんは自分の味方」だと安心し、頑張ることができるんです。
子どもは、大人が思っている以上にしっかりしています。「必要な治療であること」「がんばらなくてはならないこと」も、子どもなりにきちんと理解していて、私たちのことも「そんなに悪い人じゃない」と思ってくれているようですよ(笑)。

―――小児歯科というと、やさしく赤ちゃん言葉で対応するというイメージがありますが。

当院では、普通に話します。吸引する際などは「お口の掃除機さんだよ」程度は言いますが、始終赤ちゃん言葉で、ということはないですね。

子どもを多く診ている環境で仕事をしていると、6歳の子どもなどは、私たちの感覚的にはもう大人なんです。それに、6歳の子から見ても、クリニックに来ると、自分より小さな子が泣かずに治療を受けている姿を目の当たりにするわけです。子どもにもプライドがありますから、それを見ると、「カッコ悪いから泣きたくても泣けない」と。赤ちゃん扱いしないほうが、子どもはしゃきっとしますよ。

―――小児歯科をやっていてよかったなと思うのは。

やはり子どもの成長を見ることができるのが嬉しいですね。当院では、初診時に顔写真を撮って保存しているのですが、まだ赤ちゃんだった子があっという間に大きくなって、また通ってくる。もうこんなに大きくなったんだ、と感慨深く思うことがしばしばあります。

―――小児歯科の将来に対する想いを教えてください。

小児歯科は、予防を重要視しています。最近は、歯の予防についても少しずつ認識が広がってきましたので、継続して予防の大切さを伝えていきたいと思っています。

予防に一番必要なのは、毎日の正しいケアと歯科医による定期的なチェックです。小さいときから自分の歯のこと、口の状態をよく把握している歯医者さんを持つことは、お口の一生の健康にとってとても重要なことだと思います。

口コミで、小児の虫歯治療ならここ、と聞いて来てくださる方もたくさんいらっしゃいますが、そういう方にこそ、治療後は予防のために来ていただくことを、きちんと伝えていけたらと考えています。そのため、子どもの場合、春、夏、冬の長期休暇を目安とした、4カ月に一度の定期検診をおすすめし、歯の健康に対する意識を小さいうちから高めていただけるようご案内しています。予防のためのフッ素も無料で行っていますよ。

幸いなことに、スタッフも皆、小児の対応に慣れており、あうんの呼吸で治療中のサポートをしてくれます。これは私も本当に助かっています。クリニック内も、子どもが楽しく過ごせるような工夫をこらし、キッズスペースもあります。治療だけではなく、予防重視のかかりつけ医として、ぜひ気軽にご利用いただけたら、と思っています。

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